『任す』と『負かす』の違い

 『任す』と『負かす』が同じ訓読みで扱われることから、意味に混乱があるようですが、「任す」は使役する関係であり、「負かす」は被るばかりの受身(負役)する関係です。これは、付託と負託の違いにも共通する違いです。

 「打ち任す」:任せきること
 「打ち負かす」:圧倒して負かせる


『任す/任せる』
 使役系:トランジットする対象がある
 【任す】<サ行五段>(可能・自発的) [任される][任せられる―任せれる] 
 【任せる】<下一段>(意思・使役受身)[任せられる]
 
『負かる/負かす/負く』
 負役系:受身だけにならない
 -中立 
 【負く/負ける】<下二段>(可能・自発的)[負けられる―△負けれる][負けさせる] 
 ※自ら負けを受けるのが尊敬的になる
 【負かる】<ラ行五段>(可能・自発的)[負かれる][負けられる―△負けれる]
 ※敵から負けを受けのが使役的になる
 【負かす】<サ行五段>(他発的)[負かされる][△負かせられる(使役受身)]

 
『捲く/巻く/撒く/播く/蒔く』
[捲く―捲くる−捲かれる(受身)−捲かせる(使役)−捲ける(意思)]