表情を文字形式のままで会話する『文頭託辞』と『文末託辞』

 ≪顔文字≫は、デフォルメ言葉の≪絵文字≫とは違って、<場の表情>を決定します。こうした<場の表情>において、≪顔文字≫以外の表現があります。『文頭託辞』と『文末託辞』です。それぞれ文頭と文末に現れ、括弧文字だけではく、そのままの文字言葉なども使われます。

 そのままの文字言葉には、「あはは」や「むむむ」などがあります。これらは、文末よりも文頭に使われることが多いので『文頭託辞』と呼びます。なぜ、文頭が多いかというと、感動詞のような「声かけ」や「返答」として使われるからです。

 一方、『文末託辞』は、感動詞のような用法はありません。文章の締めをどう色づけするかなので、デフォルメした形として、「(笑)」「(爆)」などが使われます。≪顔文字≫で代用できる面もあり、あまり種類はありません。


 書き言葉としては、完結した文章では使われることがなく、対談形式の文章などでたまに使われる程度です。しかし、メールを含めたネットでの文字会話では、文末に差し込む不可欠な表現になっています。
 
 相手の表情が見えない<場>がある【言付け】コミュニケーションでは、「(笑)」という『語尾託字』の使用はとても重要です。なぜなら、受け入れてほしい場合は、笑顔が一番基本的な表情だからです。内容が面白くなくても、受け入れてほしい言葉には、必ず「(笑)」をつけてしまいます。

 例え仮設架空のキャラであっても、お互いに受け入れられると笑顔になれる。だから、何から何でも、いつでもどこでも、「(笑)」のマークをつけて【言づけ】コミュニケーションを図ろうとするのです。<場>を収めるのはいつも笑顔。「(笑)」のマークは気持ちを安心させる証でもあるのです。


 「(笑)」以外の付着文字表現も、どこか軽くて大げさな《ネット言葉》が、<場>を造ってまとめます。大げさな[スタンス]でもいいから、絵文字や顔文字などの<場>を導く表現を持たなければ、[スタンス]が分からずに、まともなコミュニケーションができません。

 [スタンス]を示すネット特有の《ネットスラング》について、これから考えていきたいと思います。