「つかう」と「つたう」の違い

【言づけ:言付け】と【言づて:言伝】の違いに関係しそうなので取り上げます。


<つかう>
つか・う【使う/遣う】
[動ワ五(ハ四)] 1 人に何かの働きをさせる。人を雇ったり、言い付けて用をさせたりする。
つか◦う【付かふ/着かふ】
[連語]《動詞「つく」の未然形+反復継続の助動詞「ふ」》ついている。
つか・う【支ふ/閊ふ】
[動ハ下二]「つか(支)える」の文語形。
つか・う【仕ふ】
[動ハ下二]「つか(仕)える」の文語形。


<つかう>
つた・う〔つたふ〕【伝う】
[動ワ五(ハ四)]物に沿って移動する。連続してある物などを手がかりにして進む。
[動ハ下二]「つたえる」の文語形。


「つかう」についてですが、
つかわ・す[つかはす]【使わす・遣わす】 の表現に注目してみます。

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[1] 上位者が下位者を行動させる。また、物などを与える。本来、動作者に対する敬意を含んでいたが、次第に敬意が薄れていった。
(ア) 上位者が下位者を使者として派遣する。

聖徳太子小野妹子を隋に―・す

仲麿を唐(もろこし)に物習はしに―・したりけるに〔出典: 古今(羇旅左注)〕

(イ) 上位者が下位者を行かせる。

この翁丸(=犬ノ名)打ち懲じて犬島へ―・せ〔出典: 枕草子 9〕

その田を刈りて取れ、とて人を―・しけるに〔出典: 徒然 209〕

(ウ) 上位者が下位者に物・歌・手紙などを与える。贈る。

手前にも御祝儀をお―・し下さいまし

(帝ハカグヤ姫ノモトニ)木草につけても御歌をよみて―・す〔出典: 竹取〕

御文にはいといみじき事を書き集め給ひて―・す〔出典: 源氏(浮舟)〕

色々の染物三十、…小袖に調ぜさせて後に―・されけり〔出典: 徒然 216〕


[2] 聞き手に対する敬意を表す表現で、物・人を第三者に送る、あるいは第三者から物・人が送られることをいう時に、受け手を低めることによって聞き手を敬う。
(ア) 話し手(の側の人)が第三者に物や人を与えたり送ったりする場合。やります。(人を)行かせます。

まうで来て帰りにける後によみて花に挿して―・しける〔出典: 古今(春下詞)〕

かうかう今は、とてまかるを、何事もいささかなる事もえせで―・すこと〔出典: 伊勢 16〕

(イ) 第三者が話し手(の側の人)に物や人を与えたり送ったりする場合。よこします。

おもしろき桜を折りて友たちの―・したりければ〔出典: 後撰(春中詞)〕

『さらば(オマエハ)行きて取りて来なんや』と言へば、『―・さばまかり候はん』と言ふ〔出典: 宇治拾遺 12〕


[3] (補助動詞
動詞の連用形に助詞「て」(「で」)の付いた形に付いて、「…してやる」の意を表す。尊大な気持ちがこめられる。

許して―・す

ほめて―・す

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 人を介して「〜してやる」というのが【言づけ:言付け】であり、マルチメディアが発達したので「人物」を介する代わりに「メール」、「ブログ」、「掲示板」を介してコミュニケーションを取るようになったとはい云えないでしょうか。