俳句をも超える?『点取占い』の世界

 知る人ぞ知るネタワールドに、『点取占い』というものがあります。ナインティナインのオールナイトニッポンのはがきコーナーでもリスペクト版として『僕の点取り占い』として長年愛されていますが、元来の『点取占い』は「駄菓子屋向けのおみくじ」になります。

 『点取占い』の概観は、主語のない短文にレトロな絵が加わったシンプルな御札の様式です。詳しい内容説明は他の記事へ譲りますが、「10文字程度の文章に点数を付ける」だけの〝上から目線〟の【言付け】表現にすぎません。10点満点で付ける点数が「占い(おみくじ)」の運勢レベルのような役割を果たしていますが、点数の根拠は意味不明です。



 このように、何気にシュールな笑いを醸し出す言付け表現が密かな人気になっています。点数を付ける対象の「10文字の文章」は、小学生発言のような短文(占い)にすぎないので、普通に読むと何の捻りもない地味な内容と解釈してしまい、笑ってしまうような特異性を見つけられなくなりがちです。

 しかし、短文に「占い点数」を加えただけの平坦な世界を、ゆっくりと想像してみると、「お笑い波動」が響いてくるのです。直観による文章認識ではなく、自分の感性に文章をなぞらえていくことで、可笑しくなってくるのです。よって、笑いを引きこまれたいならば、『点取占い』を味わおうとする姿勢が不可欠になります。

 レトロな絵が、昭和時代の懐かし漫画風に描かれていますが、これは笑いの本筋(ポイント)には必ずしもなってないでしょう。なぜなら、『点取占い』の笑いは、声に出して読み上げられるのを聴くだけでも可能だからです。ナインティナインのオールナイトニッポンの『僕の点取り占い』では、ネタは違いますが、テンションの高い読み方によって、落差を楽しむ様式がとられています。

 俳句などの詠み上げに比べると、リズムは早いでしょうが、占い?の世界をじっくり楽しもうとする姿勢は共通します。俳句のように、描いている情景を感じているわけではありません。逆に、『点取占い』の文章は、リアルには感じたくないシュールな情景なのかもしれません。

 また、俳句にあるようなコノテーションも見当たりません。『点取占い』の文章には細やかな情緒が込められている訳ではないのに笑えてしまう面もあるでしょう。何もないのが面白いというのが、『点取占い』の芸術性です。日本語だから成せるシュールな笑いだと思うのですが、分かってくれる人がどれだけ居るのかは不明です(笑)