ロンドン暴動にみる【言付け】の盛り上げ

 ロンドンの暴動は、何が原因なのか良く分かりませんが、ネットメディアの威力を証明したのは間違いないようです。特に、「ブラックベリーメッセンジャー(BBM)」の伝播力が凄かったようで、イギリス政府はこれから利用規制を検討するようです。

 「どこどこで暴動やろうぜ!」の【言付け】だけで、これほどの大同反応を巻き起こせる社会の不安定さが大問題のように思いますが、警備能力の問題からやむをえないんでしょう。しかし、民主化ができない遅れた国家と同じ対応になってしまうのは残念です。

 それ以前に、民主化が進んだ体制が、社会を安定化する訳ではないことが証明されたことで、非民主国家を批判することができなくなりました。さらに、多様な人間の集まる大都市が、人間の理想形ではないことも明らかになりました。新たな犯罪に対応できなかったという論理では、どうも説明が付かないように思います。


 今回の暴動には、政治的な意図は一切なく、敵対的なものではなかったようです。暴動に至る不満はさておき、暴動で盛り上がった大同反応について考えます。

 今回の暴動は、同じコミュニティの一般人が低劣な扱いを受けたことは、暴動の構図に含むことが出来ます。日本の若者の非常識なバカ騒ぎでも、同じコミュニティの人間を尊重しないがゆえに生じているものです。人間は、尊重(信用)していない場では、犯罪を起しやすいものです。

 「割れ窓理論」を、「ゼロ・トレランス(寛容ゼロ)」と解釈する向きがありますが、「リスペクトフル」が本来の意義だと思います。不真面目さではなく、不信感が犯意の欲望を育てるものです。具体的に敵対しなくても、漠然と大きな不信があれば、「暴動やろうぜ」の大同反応が高められたのでしょう。敵対やパニックがなくても、不信感を増幅できることが証明されたのかもしれません。


 ネット上の祭りでも、盛り上がる原因は不信感の高まりです。パニックにならずに、限られたネット世界の中で暴れまくっています。人間は、不安があればとりあえず周りに合わせるように、不信感があればとりあえず大同反応してしまうのでしょう。

 不信感の増幅は、ネットが抑制を解放したのか、ネットが仮想的に助長しているのか、分かりません。どちらにせよ、不信感が盛り上げる大同反応は、【言付け】によるものです。もちろん、「頑張れ」のように、ポジティブに盛り上げる【言付け】の功用もありますが、この場合も不安感が支えているのは間違いありません。

 【言付け】の盛り上げは「不信感」以外はないのでしょう。。。